柳田国男の「遠野物語」で、遠野地方に伝わる民話を世に紹介したことにより、
この地が観光地になった。
佐々木喜善は、遠野物語の元になった話を柳田氏に話した人物で、
伝承館に佐々木喜善記念館があり、彼に関する資料や遠野物語の誕生について学ぶことができる。
JR遠野駅から5キロあまりの距離にある、遠野郷にカッパ淵がある。
国道340号から北にはいるところにあるが、車の場合、そこには駐車場がないので、
その北にある伝承館の駐車場に置くといい。
伝承館の近くに、伝承館バス停があり、駅から20分である。
伝承館には、国の重要文化財に指定されている、南部曲り家の菊池家住宅がある。
「 菊池家住宅は、十八世紀中期頃建造された、曲り家である。
当初は曲がり部分を持たない、直家(すごや)であった。
その後、曲り家部分を増築して、現在の姿になった。
昭和五十一年(1976)に国の重要文化財に指定された。
菊池家から翌年の昭和五十二年に、遠野市の所有になり、昭和五十三年に伝承館に移築された。
小生は見たのはその時の姿であるが、平成二十六年(2014)に、茅葺屋根を全面葺き替え工事を行っている。 」
菊池家住宅から、御蚕神堂(オシラ堂)へ。
オシラ堂の壁には、千体のオシラさまが祀られている。
オシラさまは蚕の神様、馬の神様、そして、「お知らせ」の神様で、オシラさまに願い事を書いた布を
きせると、願いが叶うといわれる。
民話 「 その昔、農家の娘が飼い馬に恋をしてたため、父親が怒って、娘を殺してしまいました。
すると、娘と馬は天に上り、オシラさまになりました。 」
伝承館を出て、カッパ淵に向うと、常堅寺があり、二王門があった。
「
常堅寺は、延徳二年(1490)に開山した、曹洞宗の寺院である。
境内に、かっぱこま犬という、狛犬の頭が河童の皿になっている、珍しいものが祀られていた。 」
常堅寺の裏にある、カッパ淵は、澄んだ水が流れ、
うっそうとした茂みに覆われ、今にもカッパが現れそうである。
淵には、二体のカッパ像と、乳神を祀った小さな祠があり、
子持ちの女性がお乳を出るようにお願いすると、願いがかなうといわれる。
「遠野物語」58話
「 小鳥瀬(こがらせ)川の姥子淵(おばこふち)の辺に、
新屋(しんや)という家があり、ある日、馬を冷しに淵に行った。
馬曳きの子が、外に遊びに行ってしまった。
すると、河童が出てきて、馬を引き込もうとしたが、逆に、馬に河童が引きずられて、厩に連れてこられた。
遠野の小川にには河童が多く住んでいて、人々を驚かし、いたずらする話が多く残っている。 」
訪問日 平成十四年(2002)七月一日
(注) 小生が訪れた頃は、訪れる人も少なかったが、 遠野市が観光に力を入れる現在、「カンパ捕獲許可証」とか、釣り竿が用意されているとか、 案内人も常駐しているなど、遠野の観光は、様変わりの様子である。