恐山のカルデラ湖である、宇曽利山湖の湖岸に、
日本三大霊場の一つ ・ 恐山菩提寺がある。
恐山菩提寺は、天台宗の寺院であったが、その後、衰退。
大永二年(1522)、曹洞宗の僧・聚覚が、南部氏の援助を受け、
円通寺を建立し、恐山菩提寺を中興し、曹洞宗に改められた。
湖寄りには、噴気や温泉の湧出があり、賽の河原や極楽浜がある。
レンタカーで、青森から恐山へ向かう。
恐山には妻と以前浅虫温泉に宿泊した翌日行ったことがある。
今回はナビに頼ることにしたが、自動車道が一部完成していたので、
前回とは違うルートになった。
青森中央ICで、青森道に入り、青森東ICで一般道になり、みちのく有料道路を走る。
十和田に近い山合を走るので、遠回りではないかと思ったが、
車が少なく快適に走れた。
みちのく有料入口交叉点で左折し、国道4号を走り、
野辺地ICで、下北半島縦貫道路に入る。
この道は自動車専用道路だが、無料。
吹越しで終わるので、はまなすライン(国道279号)を走る。
前回、浅虫から野辺地に出て、走ってきた道である。
「道の駅よこはま」 を過ぎて、十分すると陸奥湾が見えてきた。
道の左側に、「トラベルプラザサンシャイン」 という、ドライブインがあり、
海岸に近いところに、両手にほたてを持った、「ほたて観音」が建っていた。
「 平成四年七月 陸奥湾がいつまでも美しい海であるよう、
漁業の繁栄と操業の安全、旅行者の健康と交通安全など、
さまざまな願いを込めて建立される。
製作は、南部名久井窯元である砂庭大作氏。
世界でも珍しい陶器製の観音像、高さ一・八メートル、
台座を合わせると約四メートル。 」
陸奥湾の先は霞んで、はっきりしないが、津軽半島の山々だろう。
ここで早いが昼食を取り、ナビに従い、むつ市街を抜けて、山道に入る。
道の端に、石造の観音像や供養塔が建っている。
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恐山へ到着。
恐山菩提寺は、宇曽利山湖の湖畔にあり、日本三大霊場の一つである。
「 伝承によれば、開山は貞観四年(862)、
開祖は天台宗を開いた最澄の弟子・慈覚大師円仁である。
円仁が、唐に留学中、「 汝、国に帰り、東方行程三十余日の所に至れば霊山あり。
地蔵大士一体を刻し、その地に仏道を広めよ 」 という夢告をうけた。
円仁はすぐに帰国し、夢で告げられた霊山を探し歩いた。
苦労の末、恐山にたどり着いたといわれる。
恐山の中に、地獄をあらわすものが百八つあり、全て夢と符合するので、
円仁は、六尺三寸の地蔵大士(地蔵菩薩)を彫って、本尊として、安置したとされる。 」
山門の右側には寺務所と宿坊があり、御朱印をいただいた。
左側にあるのは本堂で、釈迦如来が祀られ、「供養の道場」 とある。
「 建物は平屋建て、切妻平入りで、正面に一間唐破風向拝付。
向拝木鼻には象と獅子、欄間には中国の故事、懸魚には鳳凰の彫刻が施されている。 」
山門をくぐって進むと、一段と高いところに、 「地蔵殿 本尊伽羅陀山地蔵大士安置」 の標札と 「田名部海辺33番観音巡礼33番札所 恐山菩提寺」 とある。
「 恐山菩提寺は、康正二年(1456)、 蛎崎の乱の際、焼き払われ、
廃寺となった。
享禄三年(1530)に、円通寺開山の宏智聚和尚が再興した。
そうしたことから、現在は曹洞宗の寺院で、
本坊はむつ市田名部にある円通寺である。
観音像は、こちらの開山堂に安置され、中央の聖観音、十一面観音と共に、円空作で、
ナタ彫りという独特の技法で作仏されたものであり、田名部海辺33番観音
巡礼の結縁所として、ふさわしい霊場である。 」
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江戸時代には、この地方で地蔵信仰が盛んになり、 恐山は地蔵信仰を背景にした、死者への供養の場として、崇敬を集めてきた。
「 下北地方では、 「人は死ねば(魂は)お山(恐山)さ行ぐ」
と言い伝えられている。
立ちこめる硫黄臭と荒涼とした奇観を、仏僧が死後の世界に擬したことにより、
参拝者が多くなり、信仰の場として、知られるようになった。
明治、大正期には、 「恐山に行けば死者に会える」 、
「河原に石を積み上げ 供物をし声を上げて泣くと 先祖の声を聞くことができる」
などが俗信され、死者の声が聞けるという、イタコの口寄せも、話題になった。 」
地蔵殿の左手から奥は三途の河原さながらの風景で、
「無間地獄」 などの標札が建っている。
「慈覚大師堂」周囲の岩には、供養のために祀られた小さな風車が廻っていた。
前回訪れた時は至る所におびただしいかぜくるまがあったのに、
今回はほとんど見られなかった。
また、天気が快晴で、白く輝いている風景なので、地獄という印象から乏しかった。
下を見ると、宇曽利山湖の湖畔に、人が行き来しているのが見えた。
宇曽利山湖が西方浄土の渡り場に例えられていて、
夕日が沈む時には厳かな気分になれそうである。
霊場内には恐山温泉がある。
四つの湯小屋は無料(参拝料は必要)であるが、
入る気にはなれず、八戸に向い、途中の古牧温泉(三沢市)で湯浴みした。
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恐山へは下北駅から下北交通バスで「恐山行き」で45分
訪問日 平成三十年(2018)五月三十日