湯の峰温泉は、和歌山県田辺市本宮町湯の峰にある古湯である。
熊野川に沿って続く国道168号の左にある、熊野本宮大社から、
南に戻り、大日越登り口バス停がある三叉路を西に向かう。
この道は古くからある熊野街道である。
熊野街道は山道をじぐざくと進む。
すると現れるのが湯の峰温泉である。
「
湯の峰温泉は、成務天皇の御代(四世紀頃)に、国造の大阿刀足尼により開湯したと言われ、
湯の花でできた薬師如来の胸から温泉が湧いていたことに由来し、湯の胸が転じて、
湯の峰となった、と伝えられる。
その後、熊野詣の湯垢離場として繁栄し、上皇や貴族が本宮参拝の後、
疲れを癒したという歴史がある。
江戸時代に入ると熊野詣もいなくなり、湯治場になっていたようである。 」
「国民保養温泉地 湯の峰温泉 公衆浴場」の看板を掲げた公衆浴場がある。
公衆浴場の隣にある東光寺には、「小栗判官蘇生の地」の石柱が建っている。
「 東光寺は、湯の川のほとりにある天台宗の寺院である。
本尊の薬師如来坐像は三メートルあまりもあって、長い年月で湯の花が積もり、
石化してできたもの。
昔、その左胸から温泉が吹き出したことから、湯ノ峰薬師と親しまれるようになり、
転じて湯の峰と呼ばれるようになった。 」
湯の峰温泉は、湯の川に沿って、民宿を含め十数軒の旅館がある。
湯の川に沿って上っていくと、壺湯がある。
粗末な小屋の中にある小さな湯壺の浴槽である。
「
つぼ湯は、日本最古の湯といわれ、熊野詣での湯垢離場として名高いものであった。
小栗判官と照手姫伝説では、
「 常陸国の小栗城主・小栗判官は、盗賊に毒を盛られ、全身麻痺という不治の病に倒れたが、遊行上人の教えで照手姫の引く箱車に乗せられ、この地を訪れ、
川原の温泉に辿り着き、つぼ湯で湯治に励むと、不思議なことに全快した。 」
とある。
小生は中山道と東海道を歩き、小栗判官と照手姫のゆかりのあるところを訪問してきたが、
残るは「つぼ湯」であった。
ほったて小屋の中に、天然岩をくりぬいた浴槽があるが、これがつぼ湯である。
湯壺は、同時に2〜3人しか入れない大きさである。
湯壷には透明から乳白色、青っぽい色など、1日に7回色が変わるといわれる源泉の湯が、
足元の砂利の下から湧き出していた。
含重曹硫化水素泉のお湯はものすごく熱いのだが、幸い、前の利用者が出て間がなかったので、入った直後は熱かったが、じっとしていると程よく感じられた。
小栗判官も屋根から月が見えるような粗末な風呂に入り、病を治したのだろうと思い、
もの思えに浸った。
設備として、脱衣籠があるだけで、石鹸の使用は勿論、蛇口もないので、
ただ入るだけの湯である。
しかも、貸切制で30分までとなっているので、悠長に入っていられる代物でもない。
なお、つぼ湯は、川の下流にある湯峰温泉公衆浴場の受付で番号札を受け取り、受付順に入れるしくみである (
また、小屋に入ったら、内側から鍵をかける仕組みになっている。
私が入った頃は280円だったのに、熊野古道が世界遺産に登録されると、今では一人800円も取るようになったので、温泉にゆっくり入るのなら、公衆浴場をお勧めする。 」
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湯の峰温泉 所在地 和歌山県田辺市本宮町湯の峰
JR新宮駅から熊野交通バス熊野本宮方面行きで、1時間15分、
湯の峰温泉バス停で下車、徒歩すぐ。
阪和道南紀田辺ICから国道42号経由、3km10分