天孫降臨の高千穂峰を信仰する山岳信仰から始まったとされる神社で、
元の社地は噴火口から近いことから、社殿はたびたび炎上した。
その後、高千穂河原に、再興されるが、これも文暦元年(1234)の大噴火で、
社殿、僧坊等が焼失し、麓に仮宮を建てて、約250年間、祀られた。
文明十六年(1484)、島津忠昌の命により、再興されたのが、現在の霧島神宮である。
現在の社殿は、正徳五年(1715)、島津吉貴の奉納によるものである。
◎ 霧島神宮
霧島神宮があるのは、霧島市霧島田口で、JR日豊本線霧島神宮駅の北北東9km程の
ところである。
駅からバスが出ているので、それに乗るといい。
車の場合は、国道223号霧島神宮前交叉点から、北へ入っていく。
霧島神宮の鳥居を車で越えると、正面に霧島神宮の常夜燈があり、その先に赤い橋が見える。
手前に数台止めることができる駐車場があったので、そこに停めた。
ここには、斉藤茂吉の歌碑があった。
「 大きなるこの 静けさや高千穂の 峰のすべたる あまつゆふぐれ 茂吉 」
と刻まれている。
隣に補足するような説明板があった。
説明板
「 大きなるこのしずけさや高千穂の峰の統(すべ)たる あまつゆふぐれ
南なる開聞岳の暮れゆきて暫くわれは寄りどころなし
斎藤茂吉
昭和十四年十月六日夕暮、霧島林田温泉。
天が晴れて、桜島、開聞岳方面まで、一眸(いちぼう)のうちに入り、鱗雲が長く棚引き、
来る道からは高千穂も韓国(からくに)も、まったく晴れていたから、
めずらしく豊かな大風景となったのであった。 」 ( 「南国紀行」より )
その先に朱塗りの橋がある。
渡ると交叉点で、霧島神宮駐車場は右折と、表示があった。
交叉点を渡り、大きな 「霧島神宮 」の石碑を見て、長い石段を上った。
頭上の桜が満開で美しかった。
参道を歩くと両側に常夜燈があり、その先の左側に展望台がある。
坂本龍馬・おりょう新婚旅行記念の看板があり、
隣に二人のパネルがあり記念写真が撮れるようになっていた。
右奥に徳富蘇峰の詩碑がある。
「 新聖降臨地 乾坤定位時 煌々至霊気 萬世護皇基 徳富蘇峰 」
説明板
「 徳富蘇峰は明治、大正、昭和にかけての思想家で、
皇室中心の国粋主義者である。
この詩は、昭和二十七年 「卒寿」 を迎えた蘇峰の詠詩揮毫で、
国体の精華が詠みあげられている。 」
そのまま参道を進むと、鳥居が見えてきた。
鳥居をくぐると、正面に色鮮やかな社殿が見えてきた。
「 霧島神宮の主祭神はニニギノミコトで、相殿神は木花開花姫尊、彦火火出見尊、
豊玉姫尊、玉依姫尊など、日本神話に登場する神々である。
六世紀に高千穂峰と火常峰の間に社殿が造られたのが始めであるが、相次ぐ噴火で焼失し、
文明十六年(1484)、島津忠昌の命により、兼慶上人が再興したのが現在の霧島神宮である。
現在の社殿は正徳五年(1715)、島津吉貴の奉納によるものである。 」
霧島神宮は、勅使殿から上に向って登廊下があり、その上に拝殿・幣殿・本殿があり、 これらが一体で構成される大規模な複合社殿である。
「
霧島神宮の社殿は、正面に勅使殿が建ち、その左右を廻廊が巡っている。
勅使殿は方一間、入母屋造で、正面に唐破風造の向拝をつけるなど派手な意匠になっている。
拝殿は入母屋造で、正面に千鳥破風、向拝一間を付け、極彩色、漆塗りである。
登廊下の途中から西に廊下が出て、神饌所に繋がっている。
本殿は正面五間、側面四間、入母屋造で、正面に一間の向拝をもつ大きな建物で、
組物や各所に施されている極彩色の彫刻、小壁や天井には絵が描かれ、柱等軸部は漆塗りである。
また、向拝柱は龍の彫刻柱である。 」
勅使殿の彫刻はすばらしく、天皇家の家紋 「菊」 の紋章がある。
石段の下には、左右に門守神社の小さな入母屋造りのやしろがある。
ご神木として樹齢800年の杉があり、高さ三十八米、幹回り七・二米である。
霧島神宮へは、JR日豊本線霧島神宮駅より、バスで15分
◎ 霧島温泉
参拝をすませ、霧島温泉に向う、
泊まるホテルは、天下の名湯として三百年の歴史がある、硫黄谷温泉の宿 「霧島ホテル」
である。
「
慶応二年(1866)、寺田屋事件で負った手傷を癒すため、坂本龍馬は妻・お龍とともに、
硫黄谷温泉へも宿泊し、穏やかな日々を過ごした。
その記録として有名な 「霧島登山図」 などの資料が、館内展示されていた。 」
硫黄谷庭園大浴場はその迫力に圧倒された。
「
霧島ホテルには硫黄谷温泉の湯が引かれており、泉源は十四あり、
硫黄泉・明礬泉・塩類泉・鉄泉と 4つの種類の湯が楽しめる。
湯量も1日千四百万リットル(一分間にドラム缶五十本)というとんでもない量の湯が湧出していて、 完全なかけ流しである。
この温泉の売りは、体育館のような施設の庭園大浴場である。
大浴場中央を占める立ち湯の奥行き25m。
14もの源泉から流れ出る圧巻の湯量と大迫力は経験しないと分からないものである。
広い大浴場の中に、四つの違う泉質の湯がある小さな浴槽 (赤松風呂・ひのき風呂・
黄金風呂・明礬風呂) があり、それを探しながら楽しむこともできた。
大浴槽の底は、中央付近に向ってなだらかに深くなっていて、
立ったまま肩まで浸れる温泉はあまりないのではないか?
その他に、硫黄湯の長寿風呂。 寝湯と薩摩石風呂(霧島の霊泉が注がれている)があった。
これまでいろいろな温泉を訪れたが、これだけのスケールは別府の杉乃井ホテル以来である。
」
ホテルの周囲は庭園になっていて、小高いところに、硫黄谷神社があった。
このホテルに宿泊し、心身が健やかになり、今日も頑張れそうである。
又、泊まりたいと思える温泉であった。
霧島ホテル(硫黄谷温泉)へは、霧島神宮駅よりバスで硫黄谷バス停で下車 (580円)
鹿児島空港からホテル直通バスが出ている。
旅した日 令和三年(2021)三月十七日