東尋坊は悪事の限りをつくした平泉寺の僧、東尋坊に由来するという話が残る。
「 困り果てた平泉寺の僧達は相談し、 東尋坊を海辺見物に誘い出すことに成功した。 そこでたらふく酒を飲ませ、酔って眠ったところを絶壁の上から海へ突き落とした。 東尋坊が波間に沈むやいなや、 それまで太陽の輝いていた空はたちまち黒い雲が渦を巻きつつ起こり、 青い空を黒く染め、にわかに豪雨と雷が大地を打ち、大地は激しく震え、 東尋坊の怨念が突き落した恋仇の真柄覚念も絶壁の底へと吸い込んでいった。 以来、毎年東尋坊が落とされた四月五日の前後には烈しい風が吹き、海水が濁り、 荒波が立ち、雷雨は西に起こり東を尋ねて平泉寺に向ったという。 」
小生は三十年以上も前に数回訪れている。
当時、テレビの推理ドラマのフィナーレに、犯人が罪状を告白する場面として、登場していた。
落ちると命がないという絶壁が写し出されていて、そのイメージも作用してか、
かなりスリリングな場所だったという記憶があった。
今回訪問すると、観賞タワーが建っていたりして、
風景がかなり変わったという印象を受けた。
最近、NHKのタモリの番組で、
「 高さ約二十五メートルの岩壁が続く東尋坊を構成するのは、
輝石安山岩の柱状節理で、 これほどの規模を持つものは世界に三箇所だけで、
国の天然記念物及び名勝に指定される。
千二百年〜千三百年前の新生代第三紀中新世に起こった火山活動で、
マグマが堆積岩層中に貫入し、冷え固まってできた火山岩が、日本海の波による侵食により、
地上に現れた地質上極めて貴重とされる。 」 と、放送された。
タモリさんの博学には何時も感心する。
東尋坊の岩壁を構成する、五−六角形の柱状の割れ目は、柱状節理であることを確認すると、
崖下への恐怖心は消えていった。
昨今、 観光地は外国人に占領されている感があるが、当日は少なく、
大阪を中心とした関西の人が多いと思った。
当日の宿はあわら温泉のまつや千千である。
泊まったまつや千千は北陸最大のスケールの源泉大浴場、
大露天風呂を売り物にしている。
大きすぎて自分の存在が小さすぎると感じた。
「 あわら温泉は明治十六年に開湯した温泉で、 低湿地で灌漑用の井戸を掘っていた農民が、 うすい塩水を含んだ80℃の湯を掘りあてたのが始めという。 ナトリウムカルシウム塩化物泉で、温泉療法医が勧める名湯百選に選ばれている。 湯を共同管理し、各旅館に供給する温泉地が多いが、 あわら温泉は各自源泉を所有する方式なので、 所有する源泉により成分が微妙に違うという。 」
仲居が若いイケメンのだったのには驚いた。
京都出身と言っていたが、なぜ当地で働いているのか気になった。
料理は良かったが、部屋食のせいもあったか、次の料理が出てくるのに間が多いのは問題である。
改善されるように望みたい。
東尋坊へはえちぜん鉄道三国駅からバスで15分
旅をした日 平成二十九年(2017)九月十九日