小田代ヶ原は、奥日光の中西部に位置し、
標高1430m強の高地にある湿原である。
東側は戦場ヶ原だが、北・西・南はおおむね山に囲まれている。
湿原と言っても、湿原から草原へ移行期にあるため、両者と特徴を持ち、
貴重な景観を作りだす。
小田代ヶ原の春は遅く、五月過ぎるという時である。
五月三十日に訪れると、小田代ヶ原の草は黒ずんだ状態で、その奥に、
小田代ヶ原を代表するのは、草原の真中に立つ白樺の木・貴婦人である。
原の周囲にある白樺のには、淡い黄緑の葉が付き、地面にも一部、緑の草が生え、
春が訪れていることは確認できた。
6月1日にも訪問すると、朝霧に原は囲まれている。
太陽の光から赤を取り入れた赤紫の霧の中に樹木を見つけたが、
枝に葉が付いているようには見られなかった。
赤紫の幻想的風景に出会えた。
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5月末の小田代ヶ原 | 芽吹の白樺 | 赤紫の幻想的風景 |
六月下旬頃から七月の梅雨の時期には、小田代ヶ原に朝霧が発生し、幻想的な風景が撮れるので、カメラマンが多く訪れる。
7月6日早朝に訪問すると、空は青空で、山上に少し雲がかかっているだけなのに、
小田代ヶ原は朝霧に包まれている。
そよ風で、霧が流れ、霧が周りを隠し、太陽の光で風景が目覚ましく、変化を付ける。
また、太陽の光度を上げると、周りの風景も浮かび上がってくる。
霧が太陽が上がるのに比例し、あっという間に、消えてしまう。
短い時間。夢中になって、撮影を続けた。
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朝霧の小田代ヶ原 | 霧が流れる貴婦人 | 明るさ増した貴婦人 |
霧が出る前、夜明けは山の上に、赤黄色に染まる空から始まった。
小田代ヶ原は、まだ、黒い闇の中にある。
太陽の光が強くなると、小田代ヶ原の視界に、霧で覆われた姿が、現れる。
その姿の一部が上の掲げた写真である。
霧のある時間は十五分〜三十分程で、日の出の頃には終ってしまうことが多い。
日が上り、霧のない小田代ヶ原は、緑の草原と、
奥に貴婦人やタケカンバの少し濃い緑の樹木と、日光連山を背景とした、
穏やかな風景に替わってしまう。
ある意味では、どこにもある、平凡な風景である。
草原の中に、オダマキが咲いているのを見つけた。
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夜明け時 | 霧が消えた小田代ヶ原 | オダマキの花 |
7月31日に、出逢った、小田代ヶ原の霧の風景である。
小田代ヶ原に生える植物は少ないように思えた。
6月〜7月に、ウマノアシガタ、7月〜9月にホザキシモツケの群生、7月〜8月に
日光アザミに出会う位である。
小田代ヶ原は、周回歩道しか歩くことが出来ないので、草原を遠くから眺める形なので、
詳しく観察できなのである。
草の葉に、停まっているアキアカネを見つけた。
近づいても飛び立たない。 羽根が露で濡れ、光っていた。
太陽光で温度が上がると、飛んで行った。
羽根が重いため、飛べずにいたようである。
寝ている内に、夜露で濡れてしまい、太陽熱で乾かしていたようである。
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7月31日の小田代ヶ原 | 日光アザミ | アキアカネ |
8月24日に訪れると、貴婦人の奥の樹木は色が濃くなり、手前の総厳は横に帯状に赤というか、
主というか、色が替わっている。
足元には、ホザキシモツケがピンクの花を付けて、咲いていた。
遠くにあるために、花の群落なのか、他の要因は分からない。
奥日光は下界より、高度が高いため、早朝の温度がかなり低くなっていて、
この時期に秋の気配を漂わせている。
毎朝露が降りるようになっていて、
草に付いている露を写すと、丸いリングが沢山現れ、美しかった。
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8月24日の小田代ヶ原 | ホザキシモツケ | 光のリンク |
九月八日に訪れると、原の植物に氷が張っている。
野に咲く菊全体が透明な氷で覆われていたのには驚いた。
朝方に温度が下がったのだが、凍るということは氷点下になったことを意味する。
九月十九日に訪れると、小田代ヶ原のところどころが赤ずみ、水溜りも出来ている。
草紅葉の始まるである。。
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凍れる花 | 草紅葉始まる | 貴婦人 |
九月二十九日に訪問すると、横にえんじや薄茶や濃茶色などが帯状に広がる。
さながら、セピア色のじゅうたんを敷きしめたようになる。
湿原を取り囲む、蒼い樹木の緑と説妙なコントラストをなし、より印象的風景を造り出している。
「 このように、草木が茶色に変わる姿を草紅葉といい、小田代ヶ原の名物である。
小田代ヶ原の草紅葉は、
湿原に生えるホザキシモツケやトダシバやアヤメなどの湿地性植物が、
赤・オレンジ・黄色などのモザイク状に、紅葉を始めるものである。
草紅葉は、九月上旬に温度が下がり始めると、始まり、
見ごろは、九月下旬から十月中旬までである。
この時期に、多くの人が小田代ヶ原を見に集まる。
」
毎年、程同じ風景であるが、平成十年(1998)九月二十八日に訪れた時は、
秋の豪雨の水が引かず、貴婦人の前が池のようになっていた。
十年に一度といわれる経験であった。
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草紅葉と貴婦人 | 草紅葉 | 池化した小田代ヶ原 |
10月6日に訪れると、
小田代ヶ原は、霜が降り、真っ白であった。
太陽が出ると、霜が溶けて、小田代ヶ原は、黒さを増した草紅葉が現れた。
原にある樹木は紅葉し、発生した靄により、幻想的で美しい風景になった。
本格的紅葉の季節である。
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霜が降りた小田代ヶ原 | 草紅葉が現れた | 紅葉した樹 |
10月20日と10月28日に小田代ヶ原へ行くと、秋は深まっていた。
20日から一週間で、背後のミズナラの樹林の黄葉は深みを増し、秋の終わりの予感がした。
小田代ヶ原へ通じる道は、まだ淡い黄色の葉であった。
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10月20日の貴婦人 | 10月28日の小田代ヶ原 | 遊歩道にて |
11月2日に訪れると、霜が降り、白樺の木は枯木で、周囲のミズナラ林も秋の終わりを告げて
いた。
11月15日は朝日の中、少しもやがかかっていた。
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11月2日の貴婦人 | ミズナラ林 | 朝日の貴婦人 |
12月2日、貴婦人の前にみずたまりがあり、背後のミズナラ林は影が薄くなり、
貴婦人の木肌の白色が際だって見えた。
12月13日に訪れると、水溜りがこおり、すっかり冬の装いに替わっていた。
12月28日に訪れると、小田代ヶ原が雪に覆われ、永い冬休みに入っていた。
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12月2日の貴婦人 | 氷を背後の貴婦人 | 雪で埋まった小田代ヶ原 |