日本１００名城　（９９）　中城城(なかぐすくじょう)

中城城(なかぐすくじょう)は先中城按司が中城湾に臨んで築いた堅城である。

「　中城城は、十四世紀後半に先中城按司(さちなかぐずくあじ)によって築かれた城で、 十五世紀前半の1440年に護佐丸(ござまる)盛春により、北の郭、三の郭が増築された。　
護佐丸盛春は名城家で、座喜味城と中城城を築いている。　
毛氏祖先由来記によると、勝連城主阿麻和利から中山を防御するため、中城の地を賜わり、中城按司護佐丸盛春と名乗った。　
護佐丸は、1458年、王府軍としてやって来た阿麻和利の策略で攻略され、自害して滅びた。　
護佐丸が自害した後は中城王子の居城だったが、1609年の島津軍の侵入後、間切番所(マキリバンジョ)が建てられた。　 また、薩摩の植民地時代は、中国からの冊封使節団が来琉した際、 薩摩の役人は自らの存在を中国に知られないため、ここに隠れていたという伝承もある。　
幕末の1853年5月、日本に開国を迫ったアメリカのマシュー・ペリー提督が沖縄本島を訪れた際、中城城にも立ち寄っているが、 訪れた一行は城壁やアーチの門の建築土木技術水準の高さに驚嘆し、詳細な報告文を書いている。
昭和二十年(1945)の沖縄戦により多くの文化財が消滅したが、 中城城は戦争の被害が少なかったため、グスクの石積みが良好に残った城だと言われている。　」

沖縄本島中部の中城村の標高百六十メートルの石灰岩丘陵上に築かれ、 北東から南西にかけて六つの郭が並ぶ連郭式の山城で、 城の面積は約三万三千四百坪、城郭の面積は約四千三百坪(14、473�u)である。
正門は西の方向に向けて建てられていて、門をはさむように両側に石垣がせり出し、 ハンタ(公道)に向って狭間(はざま)がつくられているが、 建設当時は石造りの門の上に木造の櫓が載っていたと推定されている。
正門から南の郭を経てアーチ門を抜けると高い石垣に囲まれた西の郭に出る。　

「　城壁は主に琉球石灰岩の切石で積まれており、石垣には古い順から野面積み（南の郭）、 布積み（豆腐積み、一の郭、二の郭）、あいかた積み（亀甲乱れ積み、北の郭、三の郭、物見台）で造られていて、 沖縄の城(グスク)は本土より古い時代から石積技術が発達していたといわれる。　」

南の郭の石垣は野面積みなので、城の中で最初に造られた場所である。　
　 現在、南側は発掘調査と復元工事中で、アーチ門と東側の城壁は数年前に積み直しが行われたものである。　
南の郭には複数の拝所がある。
「中森ノ御イベ(通称着替御嶽) 」、「雨乞イノ御イベ」、「小城ノ御イベ(通称久高遙拝所)」、 「御当蔵火神・ウトウクラヒヌカミ(通称首里遙拝所・シュリウトウジ)」など、 拝所の前の看板に、神の名前が記されている。　
南の郭の石段を登り、アーチ式の門をくぐると西の郭に出た。　
西の郭の両側は崩れたままという感じだが、兵馬の訓練をしたといわれるところで、長さが東西に百二十メートルある。　
一の郭は城内で最も広い郭で、かっては正殿（せいでん）や護佐丸が宴を催した観月台があった。　
一の郭の城壁は布積み(豆腐積み)工法で造られている。　

一の郭から二の郭へはアーチ式門になっているが、 この城門は裏門を築造した時、アーチ式に改築したと考えられている。　
二の郭は布積み(豆腐積み)の城壁で、二の郭の曲線の美しさは一際目をひく。　
石段を上った先にあるのは三の郭で、1440年に読谷の座喜味城から移ってきた護佐丸盛春によって増築されたもので、 新城(みーぐすく)とも呼ばれるものである。　
道なりに進むと左に高い城壁があり、中央に門(入口)がある。　
左側は三の郭の城壁で高いところは物見台になっていたようである。　

三の郭と北の郭の城壁は相方積み(亀甲積み)という石積技術の最も進んだ積み方で積まれている。　
沖縄の城壁は本土と違い、石を非常に注意深く刻んでつなぎ合わしているだけである。　 漆喰もセメントも用いていないので、大水も石の間から流れ出るので、丈夫である。　
北の郭に入る門は中城城の裏門である。　
東に向けて建てられた裏門は、ペリー探検隊一行がエジプト式と評した精巧なアーチで、ひときわ美しい。　
北の郭は、護佐丸が番所井戸(バンジヨガー)とも呼ばれる大井戸(ウフガー)を取り込み、増築したものである。　

所在地：沖縄県中頭郡中城村字泊１２５８　　　
那覇バスセンターから「宜野湾市行き」で約５０分「普天間」又は「普天間入口」下車、タクシーに乗り継ぎ約５分　　　　
中城城のスタンプは中城城管理事務所(098-935-5719 ８時３０分〜１７時 ５月〜９月は１８時まで)　にて