日本100名城 (97) 鹿児島城(かごしまじょう)
鹿児島城は、初代薩摩藩主、島津家久(忠恒)が、標高百七メートルの城山東麓に築かれた平城である。
別名は鶴丸城(つるまるじょう)。
「 関ヶ原の合戦直後の慶長六年(1601)頃に築城工事を始め、
慶長末(1615)頃にほぼ完成したとされる。
城の正式な名称は「鹿児島城」で、「鶴丸城」の呼称は、
背後の城山の形が鶴が舞っているように見え、鶴丸山と呼ばれたことにちなむと、
江戸時代後期の「三国名勝図会」に記されている。
明治二年(1869)に知政所(ちせいしょ)となり、
明治四年(1871)の廃藩置県で、十二代藩主島津忠義が去るまで、二百七十年余り、
島津氏の居城として、近世鹿児島の政治の中心であった。
本丸は明治六年(1873)の火災で、二之丸は明治十年(1877)の西南戦争で、焼失した。 」
鹿児島城は、城山の東麓の本丸と二の丸が連郭式に並ぶ館部と、
背後の城山に本丸曲輪とニ之丸曲輪を構える山城部で構成された、中世以降の館造りを踏襲した城構えであった。
「 鹿児島城は、本丸と二の丸が連郭式に並ぶだけのシンプルな縄張で、
御楼門以外に天守も櫓もなかった。
また、本丸と二の丸出丸には石垣が築かれたが、高石垣などは築かれていない。
背後に、南北朝時代には「上乃山城」あるいは「上山城」と呼ばれた上山氏の居城があった城山があり、
有事には詰めの城の天守代わりとして、城代が置かれていた。
城代の島津常久が早世した後は、城山自体が聖域として立入禁止区域となっている。
七十七万石の城としては規模が小さく、極めて質素な城であったのは、
江戸幕府に対する恭順の意味があったとされるが、
薩摩藩は外城制という領内各地の山に支城を築いて、家臣らを配置する体制をとり、
一国一城制でも例外として支城が認められたので、
本城を要塞化する必要がなかったためとされる。 」
御楼門は本丸正面にあった櫓門で、大手門に相当する門で、薩摩藩で最上格の門であった。
「 この門には、藩主格の者と藩の上級家臣など、限られたものしか通行できず、
通行を許されたのは百名程度でした。
門の内部は枡形になっていて、門前の橋は慶長十一年(1606)に渡り初めが行われた、
という記録が残るが、当時は木橋であった。 たびたび壊れるため、幕府へ願い出て、
文化七年(1810)に石橋に架けかえられた。
現在の建物は令和二年(2020)に復元されたもので、
高さと幅は約20m、奥行きは約7m、総重量は約320tで、史実等に基づいて復元されたものである。 」
本丸に政庁と藩主の居館、表書院などがおかれ、
二の丸に世継や側室などの居館や庭園が設けられた。
「 元禄九年(1696)に焼失したが、宝永四年(1873)に再建された。
明治六年(1873)までは大手口櫓門の御楼門と書院造の御殿などがあったが、再び焼失した。
現在、本丸跡には鹿児島県歴史資料センター黎明館、
二の丸跡には鹿児島県立図書館、鹿児島市立美術館、鹿児島県立博物館などが建っている。
なお、歴史資料センター黎明館には鹿児島城復元模型と歴史資料がある。 」
本丸を巡る石垣、そして、本丸と二の丸の間の石垣などは切込接で積まれていて、美しい。
城の北東の石垣は、鬼門にあたる方向にあるため、
鬼門除けとして石垣の隅をくぼませていて(欠いていて) 角欠といわれる。
本丸の南に「御角櫓跡」の説明板が立っている。
説明板「御角櫓跡」
「 御角櫓は鹿児島(鶴丸)城本丸居所の内掘に面した南端に位置する櫓でした。
長さ約20メートル、幅約7.5メートルほどの建物だったと推測されます。
平成11年(1999)に、石垣の補修事業に伴って実施された発掘調査では、
現地表面下約1メートルの地点で櫓の基礎の一部が発見されました。
基礎の石組みは、長さ10メートル、幅3.8メートル程度が残存しており、このことから、
御角櫓の外壁は、石垣の上と切石を並べた礎石の上に建っていたことが分かりました。
御角櫓の周辺には、幅0.6メートルほどの雨落ち溝(排水溝)が巡らされ、同幅の犬走りがありました。
犬走りや基礎の石積みには漆喰で固められていた痕跡が残っています。
御角櫓は館の南東角に位置し、城の防御とともに美観や威厳を保つ役目を持つと考えられている施設ですが、
明治初期の資料では「御角屋敷」と表現され、物品収蔵施設としての用途もあったものと思われます。
13代将軍徳川家定の御台所となる篤姫(のちの天璋院)が嘉永6年(1853)6月15日に、
ここから祇園祭を見たとの記録が残っています。 」
遺構としては本丸、二の丸の石垣と堀、大手門との間に架かる石橋、
西郷隆盛の私学校跡地である出丸跡位である。
私学校跡の石垣には西南戦争の弾痕が数多く残っている。
城山には西郷隆盛が籠ったといわれる場所がある。
鹿児島城の詳細は、
古城めぐり「鹿児島城」を、ご覧ください。
所在地:鹿児島市城山町7−2
JR日豊本線鹿児島駅から徒歩15分
九州新幹線鹿児島中央駅からは市電で12分「市役所前」下車、徒歩5分
鹿児島中央駅からバスで約10分「市役所前」下車、徒歩5分
鹿児島城のスタンプは鹿児島県歴史資料センター黎明館にて
(099−222−5100 9時〜18時(入館は17時30分まで)、月曜日と25日は休館)
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