日本100名城 (71) 福山城(ふくやまじょう)






福山城は、水野勝成が幕府の西国大名監視の最前線を担う目的で築いた城である。

「 元和五年(1619)、徳川家康の母方縁者、水野勝成が備後福山藩十万石の藩主として入封し、 海陸路の要衝、福山の芦田川のデルタ地帯に、三年間の歳月を費やし、竣工したのが福山城である。
久松城や華陽城という別名を持つ城は、芦田川三角州の低い丘陵を利用した輪郭式の平山城で、 東、南、西の二重の堀をめぐらせ、 北には瀬戸内海へ抜ける吉津川(運河)を通し、小丸山、天神山を天然の防塁とした城である。 
慶長二十年(1615)の一国一城令発布後に築城された最後の城として有名であり、 徳川幕府の西国経営の拠点としての重要な位置付けを与えられた城は、京都伏見城や近くの神辺城の建物が移築されて築城された、といわれる。 」

入口の左側に高い石垣の上にある櫓は伏見城の「松の丸東櫓」を移築して建てられた伏見櫓である。

「 伏見櫓は、桁行八間、梁間三間、三層の入母屋造り、本瓦葺きの建物で、 初層と二層は同じ平面、その上にやや小さい三層を乗せ、内部は階段を付け、床板敷き、小屋梁天井としている。  城郭建築の初期の様子をよく残していて、伏見城の遺構としても貴重なものであることから、 国の重要文化財に指定されている。 」

城門は桁行十間、梁間三間の入母屋造りの脇戸付き櫓門で、筋鉄御門(すじかねごもん)と呼ばれる。

「 下層の各柱には根巻き金具を付け、四隅に筋金具を打ち、扉にも十二条の筋鉄を鋲打ちし、 乳金具を飾るなど堅固な造りになっている。 これもまた伏見城から移築されたもので、 国の重要文化財に指定されている。 」

門をくぐると本丸跡で、今は空地の中に「伏見御殿跡」の石碑が建っているだけである。

「 本丸は天守周辺が僅かに高くなっているが、 ほぼ平面で構成された南北方向に長い曲輪で、 南西の伏見櫓から反時計回りに月見櫓、鏡櫓、亭櫓、玉櫓、塩櫓、内六番櫓、荒布櫓、人質櫓、 火灯櫓の十の櫓があり、櫓と櫓の間には南面と天守周辺を除き多聞櫓が廻らされていた。 」

伏見櫓
     筋鉄御門      伏見御殿跡
伏見櫓
筋鉄御門
伏見御殿跡




本丸の奥左側に鐘楼があり、説明板がある。

「 鐘楼は築城当時より城下や近隣諸村に時の鐘を告げた遺構で、 鐘と共に緊急時武士を召集する太鼓も備えていた。  当初は柿葺きか桧皮葺きであったが、明治以降荒廃がはげしくたびたびの補修のため原形をとどめない状況であった。  昭和54年銅板葺きとして旧規に復したものである。  城地内に鐘楼が所在するのは全国的に事例がなく貴重な文化財である。 福山市教育委員会 」 

天守は元和八年(1622)に建てられた五重五階地下一階の層塔型天守で、 築城時と江戸中期では違いがあったようであるが、五重六階地下一階の層塔型である。

「 本瓦葺きで、天守の南側は天守の二重目の屋根と一体化した二重の付庇が備わり、 その東側には付庇に連続した二重櫓が付随していた。 
天守内部は全層で内側の柱(身屋部分)がすべて同じ位置に通されていて、 その周りを外壁面の柱が囲んで一層から五層まで一間ずつ逓減していて、 天守台の面積は九間×八間に対し、最上階は五間×四間の大きさである。 
各層の破風は内部構造と無関係な装飾的なもので、その配置は徳川系の天守(江戸城、大坂城、 二条城等)に準じていた。 
福山城の天守は、規則的な構造を持ち、層塔型の形式を体現していて、 慶長期の城郭建築技術の完成形といえるものであることから、 明治六年(1873)の廃城令による建物の取り壊しの際も、破却を免れ、 昭和六年(1931)には国宝に指定されたが、昭和二十年(1945)の福山大空襲で焼夷弾により焼失してしまった。 」

現在の天守は残された天守台上に建築された鉄筋コンクリート構造によるものである。 
本丸東側にあった二層二階の鏡櫓は、明治六年(1873)の廃城令により破壊されたが、 昭和四十八年(1973)に外観復元したもので、郷土史の資料や文書を収蔵する文書館になっている。 
本丸東南隅の月見櫓は、伏見城にあった櫓を移築したもので、望楼の役割を果たしていたが、明治の廃城の際とり壊された。  昭和四十一年(1966)に天守と共に外観復元された。 
御湯殿は、御殿と共に伏見城から移築され、明治六年(1873)の廃城令でも壊されず残り、 国宝に指定されたが、昭和二十年(1945)の戦災で焼失した。 昭和四十一年(1966)に内外ともに復元された。  

鐘楼
     天守と鏡櫓      月見櫓
鐘楼
再建された鏡櫓と天守
月見櫓



所在地: 広島県福山市丸之内1−8 
JR山陽本線・山陽新幹線福山駅から徒歩5分  
福山城のスタンプは天守閣(福山城博物館)の受付で  



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かうんたぁ。