日本100名城 (13) 白河小峰城
江戸幕府に命じられて、名築城家の丹羽長重(丹羽長秀の子)が四年の歳月を費やし、十万石の居城にふさわしい城郭を築城したのが
白河小峰城である。
「 白河は、陸奥(東北)への入口として往古から関所が置かれ、西行法師や松尾芭蕉が関を越えたことは有名である。
白河小峰城は、南北朝時代の興国元年/暦応三年(1340)に結城親朝が白河丘陵の小峰ヶ丘に築城して小峰城と名づけたのが始まりとされる。
天正十八年(1590)、豊臣秀吉の奥州仕置により、白河結城氏が改易されると、この地は会津領となり、会津城主の蒲生、榊原、蒲生氏が支配した。
江戸幕府の命令により、寛永四年(1627)に白河藩十万石の初代藩主となった丹羽長重(丹羽長秀の子)は
白河地域が会津領であった頃に整備された城郭や城下町の大改修を行い、現在につながる白河のまちの基礎をつくった。
小峰城は四年の歳月を費やし、同九年、奥州の押さえにふさわしい石垣を多用した梯郭式(はしご状に郭が設けられている)
の平山城が完成した。
丹羽氏の後、榊原氏、本多氏、奥平松平氏、結城松平氏、久松松平氏、阿部氏と、徳川一門と譜代大名、六家十九代が居城した。
慶応二年(1866)、阿部氏が棚倉に移されると小峰城は空き城となり、白河は幕領となり、
城は二本松藩丹羽氏の預かるところとなる。
慶応四年(1868) 正月に起きた戊辰戦争は白河にも及び、
奥羽越列藩同盟軍と新政府軍が約三ヶ月に渡り戦った
「白河口の戦い」 の際、
小峰城のシンボルである三重櫓など、建造物の大半、城下町の一部が焼失し、落城した。 」
JR白河駅の北側の駐車場の前は二の丸跡で、今は二の丸茶屋と白河集古苑という近代的な建物が建っている。
芝生広場を廻って正面に出たところが「清水門跡」である。
「 清水門は本丸の正面入口にあたり、二の丸と本丸をつなぐ重要な門で、
高さ約4.5メートルの石垣の上に櫓を渡す櫓門形式の瓦葺き、高さは約11メートル、間口は約13メートルである。
現在、礎石が残っているのを確認することができ、二階櫓部分へ出入するためのものと思われる。 」
清水門跡の正面に見えるのは本丸南石垣である。
「 盛岡城、会津若松城とともに「東北の石垣造の三大名城」とされる高石垣である。
平成二十三年(2011)の東日本大震災で幅約45メートルが崩壊したが、元の姿に復元された。」
清水門の手前は水掘で囲まれていて、門の左右は本丸の石垣で囲まれている。
本丸に入ると正面は本丸御殿の石垣が巡られている。
右側にあるのは竹之丸跡で、説明板だけが建っている。
「 竹之丸は本丸の東に位置し、外周に石垣を巡らした曲輪で、
北東に平櫓(角櫓)、南東に二重櫓があった。 東日本大震災で崩壊した本丸南石垣を修復工事に伴う発掘調査で、
現在の石垣面から約7メートル北側の位置に会津支城時代に構築されと思われる石垣が発見された。 」
その先に見えるのは前御門(まえごもん)と三階櫓である。
「 前御門は表門ともいわれ、本丸の正門として、裏門の桜之門とともに本丸の防衛を担ってきた門である。
石垣の上に門櫓をわたした櫓門形式で、平櫓の多門櫓と連結していた。
平成六年(1994)、木造で当時の史料に基づき忠実に復元された。 」
門をくぐると広い広場があり、中央に「本丸御殿跡」の石碑と説明板が立っている。
また、広場の南側には「多門櫓跡」の石柱が建っている。
前御門に続く本丸の北東の高台にあるのは三階櫓である。
「 三階櫓は複合式層塔型三重三階の櫓で、当時は三重御櫓と呼ばれた実質的な天守だった。
三重櫓の建つ櫓台に余裕を持たせ付櫓や二階に出窓を付けた姿は若松城天守に共通する。
黒漆塗りの下見板張りで、風雨にさらされることを考慮して窓を小さく開いている。
慶応四年(1868)に起きた戊辰戦争によって焼失したが、
平成三年(1991)に発掘調査と絵図などを基に木造による伝統工法で再建した。 」
桜之門は清水門から左側に入った場所にあり、本丸御殿の南側入口にあたる門である。
「 門を入った先には御殿の庭部分に通じていて、藩主の居住地区に近く藩主などの出入口に利用されたと
思われる。 石垣の上に櫓を渡す櫓門形式で、門の高さは約7メートルである。
門の近くに桜の木が数本植えられていたことが分かる絵図があることから、
門の名はこの桜から付けられた可能性がある。 」
現在は「桜之門跡」の石柱と説明板と石垣が残るだけである。
所在地:福島県白河市郭内
JR東北本線白河駅から徒歩約10分
日本100名城の白河小峰城のスタンプは小峰城三重櫓(4月〜10月 9時30分〜17時、11月〜3月 9時30分〜16時)の受付にある。
また、白河集古苑(城山公園内、9時〜16時、月休)と、
二ノ丸茶屋(4月〜10月 9時30分〜17時、11月〜3月 9時30分〜16時、水休)にもある。
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